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- 従業員の鬱病申請
1 「鬱病を理由に休職したい」
- 従業員がこう申し出てきました。会社としての対応はどうすればいいでしょうか?
2 診断書の提出
- まずは、従業員に診断書の提出を求めます。また、会社と家族が一緒になって、従業員を支えるためにも、家族と一緒に面談を求めてもよいかもしれません。
- 出勤しないことに正当理由があることの確認が必要です。また、仕事の段取りを考えるうえで、復職の予定を知りたいところです。
- 仮に、病気の診断書が出てこない場合(正当理由がない場合)には無断欠勤として判断せざるをえません。ただし、早急に判断せずに2,3ヵ月は催促し続けることになります。
- 病気の程度も争点の一つとなります。就労不能なのか、時短や、業務の軽減が相応しいのか、確認します。
- うつ病等は自殺の懸念もあります。注意点等について、お医者さんの説明等も知りたいところです。
3 給与について
- ノーワーク、ノーペイが原則です。休職されている以上は、賃金の支払い義務は原則として発生しません。
- 「就業規則で賃金の支払いを約束している」場合はこれを支払う必要があります。
- つ病の発生が会社の責任(労災)に当たる場合には、賃金相当額を賠償として支払う必要があります。なお、現実論として、会社の人事担当者としては、「会社の責任を認める。」形で対応することは難しいです。
4 事実確認
- 初動の段階で、社員から「うつ病にかかった原因について心当たりがあるか。」を聞いておくことが必要です。
- 例えば、半年後、就労不能(休職期間満了)を理由に、社員を解雇する可能性があります。その段階では敵対関係になっており、詳しく事実を聞けなくなることがあります。初動の段階で社員と間で、①病気になった原因、②復職の時期(見通し)、③復職について、職場としてどのような配慮が必要か、を話し合っておくことは大事です。
5 傷病手当
- 理論上、病気の原因が仕事にある場合(労災)には、労災申請をします。プライベートな原因で病気になったのであれば、傷病手当(健康保険)を検討します。
- 現実論として、会社の人事担当者としては、当初から「会社の責任を認める。」ことは難しいです。通常は、会社で健康保険に加入させている場合には、傷病手当の手続をすることになります。
- 傷病手当については、国から社員に対し休業補償として賃金の60%程度が支払われるイメージです。
6 社会保険の労働者負担の回収
- 休職期間中は、会社が社員に支払う賃金は0円となります。もちろん、就業規則で賃金の支払いが義務付けられている場合は別になります。
- もともと、会社は、社員の給与から社会保険(厚生年金と健康保険)を控除して、同額を国に納めています(実際には会社負担分を合わせて倍額を国に支払っています。)。
給与が0円になると、会社は社員の給与から控除できなくなるので、同額を社員から個別に徴収する必要がでてきます。
- したがって、会社は社員に対し、毎月、同額を請求する必要が出てきます。
7 休職期間
- 病気の原因が仕事にある場合(労災)を除くと、一定期間の休職期間内に、復職する目途が立たなければ、社員は退職となります。
- 就業規則で休職期間が定まっていればその期間、定まっていなければ相当期間となります。もちろん、「就業規則で定められた休職期間が短すぎる。」と訴訟になることはよくあります。相当期間がどれくらいは判例を調べて検討します。
8 復職
- 休職期間中に、復職の目途が立てば、医師とも相談しながら、業務量を調整して、少しずつ仕事復帰してもらいます。
- なお、仕事量を減らしたのであれば賃金を下げることも許されます。
- 復職が難しい場合には退職となりますが、社員は、「復職は可能である。」と主張し、会社は「復職は難しい。」と判断して訴訟になることはよくあります。
- 折衷案として、退職金を上澄みして、双方が話し合いで解決をすることもあります。
9 定期連絡
- 休職期間中について、1ヶ月に1度と、会社の担当者が社員と定期的に連絡をとりあって、①復職の時期(見通し)、②復職について、職場としてどのような配慮が必要か を話し合っておくことが必要になります。
- 大まかな流れは以上となります。