給与前払いサービス

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1 初めに

給与前払いサービスというサービスを紹介します。

2 給与前払いサービス

  1. 例えば、給与について、4月1日から末日すりに働いた分の給与は、5月10日に一括して支払われます。月給の給与といいます。
  2. これに対して、日雇いのバイトでは、今日働いた分の給与をその日にもらえます。
  3. 給与前払いサービスでは、月給の給与について、今日働いた分の給与を立替払いしてもらうサービスです。
    つまり、月給の給与の会社でも、日雇いと同じようにお金を受け取れます。

3 アメリカでの利用状況

  1. アメリカでは、低賃金の労働者の生活を守る制度として会社の福利厚生制度として使われていいます。給与を担保に、従業員がお金を借りるのと同じ効果があります。
    アメリカでは、導入した会社で、離職率が下がるなどの効果があったようです。
  2. 日本でも経済格差が広がっているとは言われますが、日本でも、アメリカと同様にこのサービスが広がっていくかどうかは分かりません。

4 給与前払いサービスを利用すべきか

  1. 給与前払いサービスを利用する企業側のメリットは以下のとおりです。
  2. 学生アルバイトや、派遣スタッフの募集に関し、「即日払い・日雇いOK」との宣伝ができることもあり、求人に効果があると言われています。
  3. 従業員の給与の前借に応じている会社では、同システムで一括して対応できるため、事務作業の軽減につながります。
  4. 日雇い労働者等が多数いる会社でも、これらの導入を検討する価値はあるかもしれません。

5 企業の負担

  1. 給与前払いサービスを利用する場合には、サービス会社が企業(従業員)にお金を貸し付けるのと同じ構造となります。
    これの利用には審査があり、企業の資産を確認できない場合には利用できません。
  2. 給与前払いサービスを利用する場合には、企業が利用料を負担する必要があります。従業員にお金を貸す制度と区別する意味もあり、利用料は企業負担とされています。

6 給与の前借り

  1. 従業員が前払いを申請して、企業が従業員に給与前払いすることは、同サービスを利用しなくても可能です。したがって、単に社内システムとして、これらを整備することも可能です。
  2. この場合、前払い分の給与原資が必要になることと、給与計算が煩雑になるというデメリットがあります。
  3. 今後、給与についてはデジタルマネーでの支払いが可能になると言われています。
    具体的には、Suica、Edy、paypay、LINE Pay、楽天ペイなどでの支払いが可能になります。例えば、従業員が申請すれば、月末に支払われる給与の70%は電子マネーでの先払いを受けれるサービスができる可能性があります。
    電子マネーの場合、送金手数料や易く、かつ、「従業員が申請すれば、企業が個別にOKしなくても、送金できる」等のシステムが作りやすいという土壌があります。
  4. 企業としては、これらの選択肢を考慮した上で導入を検討することになります。

7 給与前払い制度の問題点

  1. 給与前払い制度については、給与を担保に、従業員がお金を借りるのと同じ効果があります。
  2. 貸金業に当たるのではないか。実質的な手数料を従業員に負担させることになり、従業員の搾取にあたるのではないかという問題があります。
  3. なお、社内制度として、前借制度を導入する場合には、個人情報の取扱いも問題になります。お金に困っていること(前借りしていること)は、秘匿性の高い個人情報です。

8 給与前払い制度の利用の注意点

  1. 給与前払いサービスについては、貸金業(給与ファクタリング)にあたるのではないか、という指摘もありますが、実質は給与の前借りと同じであると考えれば、同制度が直ちに違法となる可能性は少ないと思われます。もちろん、運用の次第では同様の問題が生じます。
  2. 非正規労働者への賃金差別が問題になっている現代において、給与前払い制度にいて従業員を搾取する制度として使えば、社会的に非難される可能性があります。
  3. 導入に関しては、「学生アルバイトを集めるのに使う」とか、社内での賃金を時給〇円以上にする等の、従業員の搾取とは評価されることのないような基準を話し合う必要があります。
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