給与のデジタルマネー支給

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1 初めに

給与のデジタルマネーが法律上認められる見通しです。

2 給与

  1. 法律上は、給与は現金で従業員に手渡しする必要があります。 実務上は、給与は従業員の口座に送金されていますが、あくまで、例外的な取り扱いです。
  2. 今後、給与についてはデジタルマネーでの支払いが可能になる見込みです。
  3. デジタルマネーとは、、Suica、Edy、paypay、LINE Pay、楽天ペイなどのことをいいます。

3 給与をデジタルマネーで支払う意味

  1. デジタルマネーで支払えるところが増えてきました。今後は、給与がデジタルマネーで入ってくるようになれば、収入も支出も全てキャッシュレスで行えるようになります。
  2. 政府としてはキャッシュレス社会を推進しており、その一環となります。

4 デジタルマネーのメリット

  1. 送金手数料を安くできます。
  2. 銀行口座が無くても受け取れます。
  3. ATMに行かずに済みます。
  4. 電子マネーの場合、送金手数料を安くできます。例えば、従業員がパソコンで操作すれば、奥さんに送金でき、奥様がそのまま買い物で使う等も、新しいサービスとの組み合わせが容易です。
  5. 理論的には、電子マネーに情報を載せることができます。例えば、奥さんが旦那さんの給与の一部を飲み代には使えない等の制限をかけることも可能です。新しいサービスが今後期待できます。

5 企業としての注意点

  1. 現時点で、企業側として、給与をデジタルマネーで支払う必要性は薄いといえます。いろいろなサービスがでてきて、社員が利用したいという声が多くなればこれに対応する必要があります。
  2. しかし、デジタルマネーの解禁には企業のリスクがあります。まずは、デジタルマネーで給与を支払ったが、その会社が破綻した場合にどうするかという問題です。仮に、従業員から、「デジタルマネーの会社が破綻した場合には、企業は責任を負わない。」と書面での同意を得たとしても、多数の従業員の生活が脅かされれば、企業はこれを無視できません。
  3. さらに、口座に支払いませんので、本人確認の問題や、マネーロンダリングの危険があります。銀行口座に送金すれば、銀行が名義人の本人確認をしておりますので、その人に対し支払ったことが明白です。また、口座を通過しない金銭の流れが、マネーロンダリングに利用される可能性もあります。偽名で働く人が出来てくるかもしれません。  本人確認をしっかりしている限って、会社のデジタルマネーを利用する等の確認が必要になります。

6 今後のデジタルマネーの動き

  1. 現時点で、企業側として、給与をデジタルマネーで支払う必要性は薄いといえます。しかし、いろいろなサービスが出てくれば、これを無視することはできません。
    お金のあり方が変わるかもしれないという面では、企業として全体的なデジタルマネーの動きにはウォッチチングが必要です。
  2. 送金手数料(海外送金)が安くなりますので、外国人労働者はデジタルマネーを喜ぶかもしれません。
  3. 例えば、従業員が申請すれば、月末に支払われる給与の70%は電子マネーで先払いしてもらえる、サービスもあるかもしれません。
  4. 従業員が、給与を管理するサービスもあるかもしれません。住宅費、食費、塾代等の使途の決まっているお金については、入金前から使い道が決めて、その分は使えない(引き落とせない)仕組みもあるかもしれません。資産運用や積立も一括で管理可能です。
  5. モチベーション維持として、社内ポイント制度(社員同士でありがとうの気持ちをポイントで渡したり成果を報償したりする制度)の一環で利用することも可能です。
  6. 従業員が立て替えた経費の精算の仕組みについてデジタルマネーで清算する仕組みが出てくるかもしれません。
    デジタルマネーは送金手数料を低く抑えて、その他のシステムと連動させて自由なお金の移動を可能にする可能性があります。
  7. 例えば、商店街の街おこし的な使い方もあるかもしれません。ポイントであれば、110%で支払えて商店街で使える。商店街のお店で現金化できるが、その場合には100%に戻ってしまうので商店街で使った方がお得というのもあるでしょう。
  8. もちろん、デジタル給与で受け取れば、1~2%ポイントが付くサービスもありえます。
  9. 企業としては、従業員の利便性を考慮しつつ、リスクを考慮した対応が求められます。
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