反社会的勢力関連

採用リスク白書~その③~

1 序章

  1. その①(バカッター、バイトテロ編)でお伝えしたような、在職中の従業員が問題を起こした際に会社が被る損害についてお話します。

2 就活セクハラ

  1. この手のニュースはここ数年、頻繁に見掛けるようになりました。
    これは大手企業や有名企業で起こっている事件で、その会社に入りたいと希望している就活生の女性の弱みにつけ込んで、性的関係を迫るという卑劣な行為です。

3 過去事例

  1. 大手ゼネコン、大林組の社員が就活中の女子大学生とOBOGをつなぐスマートフォンアプリで知り合い、パソコンを見ながら面接指導をすると言って学生を自宅マンションに誘い、わいせつな行為をしたとされる。
  2. 日本が誇る大手商社、住友商事の社員が就職活動のためにOB訪問に来た女子大生を泥酔させ、この女子大生が予約していたホテルの部屋に侵入。性的暴行に及んだというもの。
  3. 上記の他にも、挙げればキリが無いほど就活生の女性を狙った性犯罪はあります。

4 顛末

  1. 上記2社の事例では、何れも被害を受けた女性は警察に駆け込んでおり、犯行が明るみに出たことで社員は逮捕されている。
  2. この事件は端的に言えば、人気の大手企業で働こうとすると、レイプされることがある。後輩や自身の就活が不利になる可能性を考えると、泣き寝入りせざるを得ないという、何とも卑劣極まりないものです。
  3. 当然のことながら、当該社員は懲戒解雇されています。 

5 損害

  1. 前述した通り、罪を犯した社員は解雇処分となり会社を去りますが、その後も会社は謝罪に次ぐ謝罪、メディアへの対応や事態の収拾に追われます。
  2.  さらに、会社の名前は大きく傷つき、「あの会社に入ろうとするとレイプされる」など不名誉なレッテルを貼られてしまい、就職を希望する学生は大幅に減ることでしょう。
  3. このように、一時だけのものでは無く、しばらくは会社の社会的信用は失われたままになり大損害を被ります。

6 まとめ

  1. 上記のような事態を完全に防止することは出来ないと思います。
  2. しかし、前職での仕事振りや人柄、素行等について調査を行う弊社のバックグラウンドチェックを導入することで、面接や書類選考だけで判断するよりかは、そのような危険分子となり得る社員の入社を未然に防ぐことは可能です。

従業員の鬱病申請

1 「鬱病を理由に休職したい」

  1. 従業員がこう申し出てきました。会社としての対応はどうすればいいでしょうか?

2 診断書の提出

  1. まずは、従業員に診断書の提出を求めます。また、会社と家族が一緒になって、従業員を支えるためにも、家族と一緒に面談を求めてもよいかもしれません。
  2. 出勤しないことに正当理由があることの確認が必要です。また、仕事の段取りを考えるうえで、復職の予定を知りたいところです。
  3. 仮に、病気の診断書が出てこない場合(正当理由がない場合)には無断欠勤として判断せざるをえません。ただし、早急に判断せずに2,3ヵ月は催促し続けることになります。
  4. 病気の程度も争点の一つとなります。就労不能なのか、時短や、業務の軽減が相応しいのか、確認します。
  5. うつ病等は自殺の懸念もあります。注意点等について、お医者さんの説明等も知りたいところです。

3 給与について

  1. ノーワーク、ノーペイが原則です。休職されている以上は、賃金の支払い義務は原則として発生しません。
  2. 「就業規則で賃金の支払いを約束している」場合はこれを支払う必要があります。
  3. つ病の発生が会社の責任(労災)に当たる場合には、賃金相当額を賠償として支払う必要があります。なお、現実論として、会社の人事担当者としては、「会社の責任を認める。」形で対応することは難しいです。

4 事実確認

  1. 初動の段階で、社員から「うつ病にかかった原因について心当たりがあるか。」を聞いておくことが必要です。
  2. 例えば、半年後、就労不能(休職期間満了)を理由に、社員を解雇する可能性があります。その段階では敵対関係になっており、詳しく事実を聞けなくなることがあります。初動の段階で社員と間で、①病気になった原因、②復職の時期(見通し)、③復職について、職場としてどのような配慮が必要か、を話し合っておくことは大事です。

5 傷病手当

  1. 理論上、病気の原因が仕事にある場合(労災)には、労災申請をします。プライベートな原因で病気になったのであれば、傷病手当(健康保険)を検討します。
  2. 現実論として、会社の人事担当者としては、当初から「会社の責任を認める。」ことは難しいです。通常は、会社で健康保険に加入させている場合には、傷病手当の手続をすることになります。
  3. 傷病手当については、国から社員に対し休業補償として賃金の60%程度が支払われるイメージです。

6 社会保険の労働者負担の回収

    1. 休職期間中は、会社が社員に支払う賃金は0円となります。もちろん、就業規則で賃金の支払いが義務付けられている場合は別になります。
    2. もともと、会社は、社員の給与から社会保険(厚生年金と健康保険)を控除して、同額を国に納めています(実際には会社負担分を合わせて倍額を国に支払っています。)。
      給与が0円になると、会社は社員の給与から控除できなくなるので、同額を社員から個別に徴収する必要がでてきます。
    3. したがって、会社は社員に対し、毎月、同額を請求する必要が出てきます。
  • 7 休職期間

    1. 病気の原因が仕事にある場合(労災)を除くと、一定期間の休職期間内に、復職する目途が立たなければ、社員は退職となります。
    2. 就業規則で休職期間が定まっていればその期間、定まっていなければ相当期間となります。もちろん、「就業規則で定められた休職期間が短すぎる。」と訴訟になることはよくあります。相当期間がどれくらいは判例を調べて検討します。
  • 8 復職

    1. 休職期間中に、復職の目途が立てば、医師とも相談しながら、業務量を調整して、少しずつ仕事復帰してもらいます。
    2. なお、仕事量を減らしたのであれば賃金を下げることも許されます。
    3. 復職が難しい場合には退職となりますが、社員は、「復職は可能である。」と主張し、会社は「復職は難しい。」と判断して訴訟になることはよくあります。
    4. 折衷案として、退職金を上澄みして、双方が話し合いで解決をすることもあります。
  • 9 定期連絡

    1. 休職期間中について、1ヶ月に1度と、会社の担当者が社員と定期的に連絡をとりあって、①復職の時期(見通し)、②復職について、職場としてどのような配慮が必要か を話し合っておくことが必要になります。
    2. 大まかな流れは以上となります。
  • 採用リスク白書~その①~

    1 序章

    1. 企業活動において、採用リスクは切っても切れない関係性にあります。
    2. 会社に悪意が無かったとしても、未払い残業やパワハラ、不当解雇など従業員は様々な不満や問題を抱えているものです。
    3. 特に退職後に揉めることが多いと思いますが、今回は在職中の従業員が問題を起こした際に会社が被る損害についてお話します。

    2 バカッター

    1. この言葉は既に世間一般に広まっているワードですが、「馬鹿」と「Twitter」のかばん語で、日本のインターネットにおいて誕生したTwitter利用者による行為の様相を表すインターネットスラングです。
    2. バカッターという言葉が生まれた原因は、Twitterの利用者が投稿するツイートに内容の酷いものが多く見つけられ話題になったことから始まりました。中には個人名を出した上で、非行や犯罪行為を自慢する自己顕示欲のある者などが存在します。

    3 バカッター(過去事例)

    1. コンビニ従業員がアイス冷蔵庫の中に入り写真を投稿
    2. 回転寿司店のアルバイトがゴミ箱に捨てた生魚を調理する様子を投稿
    3. ピザ屋の従業員がピザ生地を顔につけた写真を投稿
    4. ステーキ店のアルバイトが大型冷蔵庫の中に入っている写真を投稿
    5. など、挙げればキリが無いくらいに多く、こういった従業員が悪ふざけをした写真や動画を投稿する行為は「バイトテロ」と呼ばれます。

    4 バイトテロ

    1. バイトテロとは前述したように、主に飲食店や小売店の従業員(正社員・契約社員およびアルバイト・パートなどの非正規雇用含む)が、勤務先の商品(特に食品)や什器その他の備品を使用していたずら・悪ふざけを行う様子をスマートフォンなどで撮影し、TwitterやYouTubeなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿して炎上する現象を指す日本の造語。
    2. 発生した企業・店舗(およびグループ会社・同業者全体)に対する社会的なイメージダウンを引き起こすのみならず、返金や商品の返品・交換および消毒、最悪の場合は発生した店舗(フランチャイズ店)の契約解除や閉店に伴う巨額の損害賠償の請求も発生することから「アルバイトによるテロ行為」として「バイトテロ」と呼ばれる。

    5 バイトテロによる損害

    1. バイトテロにおける損害は、会社や店だけでなく写真や動画を投稿した本人にも降り掛かる。
    2. 過去事例にあげたコンビニで言えば、当該店舗はフランチャイズであった事から契約を解除され、廃業に追い込まれました。当然のことながら、投稿した従業員は解雇。
    3. ステーキ店の事例では、当該店舗は閉店を余儀なくされ、投稿した元アルバイトに対して損害賠償請求(2,000万円に上ると言われています)をしたとの話もあります。

    6 結論

    1. 採用リスクは従業員の在職中や退職後、どこにでも存在します。
    2. 従業員の軽はずみな行為によって会社の社会的信用を失い、最悪の場合は廃業にまでなりかねません。
    3. 書類選考や面接だけでは、採用候補者の性格・素行面などは掴みきれないことの方が多く、入社してからでは既に遅いというケースも想定されます。
    4. 弊所のバックグラウンドチェックでは、普段のSNSへの投稿や、前職での仕事振り、人柄、素行等についても調査しております。
    5. 「明るくて良い子そうだな」と、面接での印象だけで採用される前に、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを導入される事をお勧めします。

    反社会的勢力チェック(警察問い合わせ)

    1 公的な反社チェック

    1. 以前、自分でできる前科や犯罪歴調査の方法【無料】
      の記事にて、自分自身でも手軽に出来る調査手法をお伝えしました。
    2. 今回は公的機関である警察に頼る手法をお伝えします。

    2 相談窓口

    1. 最寄りの警察署、又は公共財団法人暴力団追放運動推進都民センター
      が相談となります。

    3 情報提供

    1. 暴力団であるかどうかは、不当な差別に結び付きかねない個人情報です。
      情報提供を依頼するには、その必要性を説明する書類を用意しなければなりません。
      必要書類を集めるのは、時間もかかります。
    2. 暴力団であると疑うべき資料とはいったいどのようなものでしょうか?

    4 暴力団であるとの疑いの資料例

    1. 指がない。入れ墨があるなどの暴力団としての外見的な特徴がある。
    2. 近所の住民から、「〇は暴力である」等の聞き取り調査結果
    3. 調査会社による報告書
    4. このようなエビデンスが必要となります。

    5 契約の当事者である

    1. 契約の当事者もしくは、契約を締結しようとしている当事者、つまり、取引先について暴力団等の可能があることが必要です。
    2. 例えば、購入希望する土地の近くに暴力団の事務所らしき施設があるということでは照会できません。仮にこれが出来てしまうと誰でも開示請求が出来てしまいますから。

    6 警察から提供される情報

    1. 警察と協議した上で、情報提供の要件を満たすことを示す書類等を準備して提出します。
    2. 要件を満たすとなれば、警察は調査をしてくれます。警察の有する暴力団情報についてはデータベース化されておらず、地元の警察に問い合わせたり、取引先に警察官が出向いたりして調査した上で回答することになっています。
    3. 照会時点において、会社の役員が暴力団員であるかどうか、会社が暴力団のフロント企業であるかについて、「該当の有り」「無し」のみを口頭で回答してくれます。

    自分で出来る取引先調査

    1 自分で出来る取引先調査

    1. 今や様々な情報が溢れかえるこの時代、取引先を調べるにおいて有益な情報を探すのには少しコツが要ります
    2. 本日は個人でも手軽に出来る取引先調査3選をお届けします。

    2 インターネット検索

    1. 「会社名 + 詐欺 」、「会社名 + 評判 」、「社長名 + 詐欺 」
      などの掛け合わせ検索が有効です。
    2. 有名企業に似た名前などの場合は、マイナス検索や完全一致などのオプションを使うとスムーズになるでしょう。

    3 法人登記の取得

    1. 法人登記を取って社長の住所を調べます。
    2. 法人登記には代表取締役の住所が記載されています。
      賃貸であれば、インターネットで賃料相場が分かります。
    3. 収益相応な物件にお住みで無い場合は注意が必要です。

    4 地図検索

    1. GoogleMapで自宅の外観などを調べます。
    2. ご自宅の登記から個人保証の有無や、取引銀行を調べることが出来ます。
    3. 稀に地番が同じなどでどの家か特定出来ない場合もありますので、その時はコンビニなどで取得できるゼンリンの住宅地図が有効です。

    5 結論

    1. 「手軽に出来る取引先調査3選」いかがでしたか?
    2. あくまでこれらは補助的なものなので、やはり直接先方社長に会ってヒアリングすることも重要です。
    3. 社長自身を好きになれなければ、無理に取引を続けてもお互い辛い未来が待っているでしょう。
    4. 皆様の参考になれば幸いです。