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1 マイカー通勤時の事故とリスクについて
- 会社の立地や働き方によっては、マイカー通勤を認めている企業も珍しくはないでしょう。
- 今回はマイカー通勤時の事故と、会社へのリスクについて触れていきます。
2 使用者責任
- マイカー通勤中に従業員が交通事故を起こした場合は、会社に使用者責任が発生するケースがあります。これは、バイク通勤でも同じです。
- 会社としては、マイカー通勤を認める場合には許可制にして、その把握をしなければなりません。1年に1度は、マイカー通勤の利用をチェックしなければなりません。
3 任意保険
- 社員が、自分の自働車や、バイクについて任意保険に加入していた場合には、保険会社か交渉や、賠償を行うことがほとんどです。
- したがって、任意保険に加入していれば、免責事項に該当しない限り、会社の責任が問題になることはあまりありません。
- 逆にいえば、会社は、無免許運転となっていなか(免責事項)、任意保険に加入しているかをチェックする必要があります。
- 定期的に運転免許証のコピーや、任意保険の保険証書の提出を求めましょう。
4 自転車の事故、歩行者同士の事故
- 社員が仕事時間中に、自転車もしくは歩行者にぶつかって、被害者が高齢者であるために、大けがに発展し、会社に使用者責任を求める事例も出てきています。
- これらは、事業用保険でカバーできます。あまり発生しないケースでもあり、保険料もそこまで高額ではありません。利用を検討してもよいでしょう。
5 通勤手当
- マイカー通勤をしている場合に、通勤手当を一律1万円としていることや、公共機関を利用した場合の金額を支給する会社もあります。
- えば、基本給30万円、マイカー通勤手当1万円を支払っている場合、通勤手当が距離に関係なく支払われている賃金である(つまり、実質は、基本給と同じである)として、基本給を31万円と計算した上で、例えば、月額31万円÷160時/月(月平均所定労働時間)で、残業代の時間単価を計算すべきか、という問題もあります。
- 対策としては、3キロ以内は5000円、5キロ以上は1万円と距離に応じて規定する方法もあるほか、あくまで、通勤に要する費用であるとして、基本給を30万円と計算した上で計算する方法もあります。(是正を指摘されるとしても、総額の3%程度の違いであり、残業代の支払額に大きな影響が出ないからです。)
6 結論
- コロナ禍ということもあって以前よりマイカー利用が感染症対策になっているのも事実です。
- しっかり制度化しておかないと後々面倒になりかねません。十分検討して導入することが大切です。
1 就業規則の休職期間は、どうやって計算するのか
- 前回の鬱病申請でも触れた休職期間について今回は述べていきます。
2 休職期間
- 休職期間は、解雇の猶予期間です。休職期間を過ぎても、復職できない場合には退職となります。
- 休職期間内に、復職できれば退職となりませんが、復職できなければ退職なります。したがって、休職期間の計算は重要です。
- しかし、就業規則の規定は難解です。次章からその計算方法について触れていきます。
3 休職期間の計算
- 休職期間のスタートは、欠勤が30日となったときとなっています。
- 10日間の有給の申請があった場合には、10日間は有給消化であって欠勤ではありません。そこで、出勤しなくなって40日(有給消化10日+欠勤30日)を超えてから、休職期間となります。
- その後、6か月間が休職期間となります。
- つまり、出勤しなくなってから、有給消化10日+欠勤30日+休職期間6か月の合計7ヵ月10日を過ぎると休職期間の満了となります。
4 最後に
- 休職期間は、解雇の猶予期間ですので、会社が延ばすことは認められます。
- したがって、休職期間満了の1ヵ月以上前に、「就業規則上の休職期間は〇月〇日です。締め日の関係もあり、Aさんの休職期間の満了日は、〇月〇日とします。」と文書で通知して、休職期間について争いがない状態にしておくことが大切です。
1 序章
- 鬱病などの精神疾患に従業員が罹患してしまうと、業務効率が低下したり休職を余儀なくされたりして業務に大きな支障が出ます。従って、精神的な病を患っている人または過去にメンタル面での病気に罹患した事がある人には入社してほしくないというのが企業の本音だと思います。
- しかし、鬱病などの精神疾患の既往歴は個人情報の一つであり、面接の際に既往歴があるか否かを質問するのも問題だと云われかねません。
2 実例
- 採用面接時に既往歴があるかどうか質問するよりも、健康診断結果を提出してもらう方が正確に精神疾患等の情報を得ることが出来ます。
- 過去の裁判例(事件名:B金融公庫【B型肝炎ウイルス感染検査】事件/裁判日:平成15年6月20日)では、下記のような判例がある。
- ・金融機関Yに雇用されるため採用選考に応募したZが、Yに対し、B型肝炎ウイルスに感染していることのみを理由としてZを不採用としたこと。ならびに、Zに無断でウイルス感染を判定する検査及び精密検査を受けさせたことがいずれも不法行為であるとして損害賠償を求めた。
・不採用にしたことについては、会社には「採用の自由」が認められているため、一部棄却されたものの、本人の同意なしにウイルス感染の検査受けさせて情報を取得したことは、プライバシー権の侵害として損害賠償請求が認められた。
とあります。
3 会社としての対応
- 上記のように、特定の病気を疑って検査を受けさせることは困難です。また、面接や筆記試験では持病や既往歴までは掴みきれません。
- 入社後に精神的な病を患って長期的な欠勤をする従業員が出てくると、周りのスタッフに迷惑が掛かるばかりか、いつ出勤するかもわからない従業員に対して、場合によっては一定期間給料を払い続けていくという会社もあるほどです。
- 就業規則に精神疾患による解雇要件が無い会社は多く、退職勧奨などを進めていくことしか出来ないケースが多いというのが現状です。
4 結論
- 上記のようなケースでは、弁護士や社労士に相談するのが一番の得策と言えます。
ただ、それはあくまで事後相談。そういう事態になってからというものです。
- 弊社が行っているバックグラウンドチェックでは、前職で鬱傾向にあったか否か、また、精神疾患による休職や退職理由なども調査しております。
- なかなか見抜けない要素を採用前に確認するためにも、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを導入される事をお勧めします。
- 近々別記事にてこの事後相談、対応についてお話させていただきます。
1 コンピタンシー
- ビジネスの世界では、コンピタンシーは、以下の意味で使われます。
- かつては、ハイパフォマー(成績優秀者)の特徴という意味で使われていました。営業成績のよい社員の特徴を解析して、社員教育や評価制度に反映しようという動きです。
- 野球の上手い人のまねをすれば、野球が上手くなるわけではありません。結局、このような流れは無くなりました。
2 会社のコンピタンシー
- 成績の良い会社の特徴・強みという意味で使われることもあります。
- ある成績の良い会社では、社会を変えようと考える(起業家マインドを持った人)メンバーで構成されており、採用戦略としても、同様の素質を持つ者を採用していこうという形で議論されます。
- なお、コンピタンシーは、成績の良いという「結果」から見て、会社(個人)の特徴を把握する点に特徴がある考え方です。
3 コンピタンシー面接
- この面接は、困難に直面した際に人がどういう行動をとるのか、姿勢を問うものです。
- ①リーダーシップを発揮して他人を巻き込んで困難に立ち向かうのか、②自分一人で創意工夫をするのか、③当たり前のことは言われなくてもやれるのか、④言われたことしかやらないのか、等の仕事の姿勢を判断します。
- コンピタンシー面接では、本人が過去にどうしたか(結果)をヒアリングして、判断するものですが、コンピタンシーという言葉の意味が他とは大きく異なります。
4 社風
- 少し、近い概念として社風という言葉もあります。
- く採用の時には、「一緒に働きたいと思うかどうか」で判断するという言葉を聞きますが、退職の主な原因は人間関係ですから、合理的な考えだと思います。
- 社風(会社に定着している人がどんな人であるのかその特徴)を分析することは意味がありますし、今後期待する人材について、「粘り強く自分で仕事を考える」等の特定の素養を期待するのであれば、これを探す試験をどうするか、を考える必要があります。
5 結論
- 少し自分なりに書きすぎてしまいましたが、ひとつ言えるのはコンピタンシー面接は有効な面接方法であるので、一度勉強することをお勧めします。
1 男性の育児と出生率
- 日本での男性の育児・家事時間は、女性の2割と言われています。
- 当然ながら、その差が男女で大きくなれば、少子化が進みやすくなります。
- 例えば、男性の育児休暇の取得は1割程度です。
2 育児による退職と、その対策
- 育児と仕事の両立が難しく、退職が迫られるのは女性だけではありません。女性の給与が高い家庭では、退職を選ぶ男性もいます。
- 最近は、男性の育児休暇の取得を進めるという動きがあります。
それだけではなく、「1日の勤務時間を5時間にするなどの短時間勤務の導入」「週3日勤務を認める休日の導入」「テレワークで仕事ができる環境にするなどの仕事の仕組みを変える」等があります。
- 仕事の仕組みを変える方法としては、重要な書類を全てPDF化させて、自宅からも資料を閲覧できる仕組みや、会議の縮小などが必要です。
3 会社のメリット
- 「育児と仕事の両立が難しい。」という理由で退職する従業員の立場からすれば、別の会社で働くよりは、今の会社で働けた方が能力を発揮できることは分かっています。
- 会社としても、在宅ワーク等が増えれば効率が下がることは避けがたく、給与の減額等の話し合いをすることも許されます。
- 人事管理の工数が増えるかもしれませんが、経済的な支出はありません。
- さらに、HPで具体的な取り組みを公開して、働きやすい職場のアピールも考えられます。
4 より積極的なアプローチ
- より積極的なアプローチとしては、社内の「仕事と育児の両立に悩む」モデル人材を見つけて積極手的な支援を検討して、社内で制度化させる方法もあるでしょう。
- 「定着できるかどうか分からない」人を採用するのと、「優秀な人材の」退職を引き止めるのでは、効率が全然違います。「離職を食い止める。」そして、その取り組みを「採用でアピールする。」という流れに繋げましょう。
5 結論
- せっかく活躍している人財をみすみす逃してしまうのは、あまりよろしくありません。
- 新しい人も必要ですが、個々人のライフスタイルが変わっても揺るがない盤石な基盤づくりも重要ですね。