雇用動向

コンピタンシー(用語解説)

1 コンピタンシー

  1. ビジネスの世界では、コンピタンシーは、以下の意味で使われます。
  2. かつては、ハイパフォマー(成績優秀者)の特徴という意味で使われていました。営業成績のよい社員の特徴を解析して、社員教育や評価制度に反映しようという動きです。
  3. 野球の上手い人のまねをすれば、野球が上手くなるわけではありません。結局、このような流れは無くなりました。

2 会社のコンピタンシー

  1. 成績の良い会社の特徴・強みという意味で使われることもあります。
  2. ある成績の良い会社では、社会を変えようと考える(起業家マインドを持った人)メンバーで構成されており、採用戦略としても、同様の素質を持つ者を採用していこうという形で議論されます。
  3. なお、コンピタンシーは、成績の良いという「結果」から見て、会社(個人)の特徴を把握する点に特徴がある考え方です。

3 コンピタンシー面接

  1. この面接は、困難に直面した際に人がどういう行動をとるのか、姿勢を問うものです。
  2. ①リーダーシップを発揮して他人を巻き込んで困難に立ち向かうのか、②自分一人で創意工夫をするのか、③当たり前のことは言われなくてもやれるのか、④言われたことしかやらないのか、等の仕事の姿勢を判断します。
  3. コンピタンシー面接では、本人が過去にどうしたか(結果)をヒアリングして、判断するものですが、コンピタンシーという言葉の意味が他とは大きく異なります。

4 社風

  1. 少し、近い概念として社風という言葉もあります。
  2. く採用の時には、「一緒に働きたいと思うかどうか」で判断するという言葉を聞きますが、退職の主な原因は人間関係ですから、合理的な考えだと思います。
  3. 社風(会社に定着している人がどんな人であるのかその特徴)を分析することは意味がありますし、今後期待する人材について、「粘り強く自分で仕事を考える」等の特定の素養を期待するのであれば、これを探す試験をどうするか、を考える必要があります。

5 結論

  1. 少し自分なりに書きすぎてしまいましたが、ひとつ言えるのはコンピタンシー面接は有効な面接方法であるので、一度勉強することをお勧めします。

男性の育児支援

1 男性の育児と出生率

  1. 日本での男性の育児・家事時間は、女性の2割と言われています。
  2. 当然ながら、その差が男女で大きくなれば、少子化が進みやすくなります。
  3. 例えば、男性の育児休暇の取得は1割程度です。

2 育児による退職と、その対策

  1. 育児と仕事の両立が難しく、退職が迫られるのは女性だけではありません。女性の給与が高い家庭では、退職を選ぶ男性もいます。
  2. 最近は、男性の育児休暇の取得を進めるという動きがあります。
    それだけではなく、「1日の勤務時間を5時間にするなどの短時間勤務の導入」「週3日勤務を認める休日の導入」「テレワークで仕事ができる環境にするなどの仕事の仕組みを変える」等があります。
  3. 仕事の仕組みを変える方法としては、重要な書類を全てPDF化させて、自宅からも資料を閲覧できる仕組みや、会議の縮小などが必要です。

3 会社のメリット

  1. 「育児と仕事の両立が難しい。」という理由で退職する従業員の立場からすれば、別の会社で働くよりは、今の会社で働けた方が能力を発揮できることは分かっています。
  2. 会社としても、在宅ワーク等が増えれば効率が下がることは避けがたく、給与の減額等の話し合いをすることも許されます。
  3. 人事管理の工数が増えるかもしれませんが、経済的な支出はありません。
  4. さらに、HPで具体的な取り組みを公開して、働きやすい職場のアピールも考えられます。

4 より積極的なアプローチ

  1. より積極的なアプローチとしては、社内の「仕事と育児の両立に悩む」モデル人材を見つけて積極手的な支援を検討して、社内で制度化させる方法もあるでしょう。
  2. 「定着できるかどうか分からない」人を採用するのと、「優秀な人材の」退職を引き止めるのでは、効率が全然違います。「離職を食い止める。」そして、その取り組みを「採用でアピールする。」という流れに繋げましょう。

5 結論

  1. せっかく活躍している人財をみすみす逃してしまうのは、あまりよろしくありません。
  2. 新しい人も必要ですが、個々人のライフスタイルが変わっても揺るがない盤石な基盤づくりも重要ですね。

内定辞退者も大事な資産

1 内定を辞退します。

  1. 人事、経営に携わる方なら一度は言われたことのあるこのセリフ
  2. 「せっかく時間かけて面接もしたのに!」「求人ストップしたのに!」と怒ってしまうのは簡単です。
  3. ですがそうしたところで何も生み出しません。どうせならその状況を「会社の大事な資産」にしてみませんか?

2 内定辞退者に話しを聞いてみる

  1. もうその通りです。ズバリご本人にヒアリングしてみましょう。
  2. 主にしておいたほうがよい質問は以下のとおりです。

3 質問事項例

  1. 他にどんな仕事を探しましたか?
  2. そこで採用を決めた理由は何ですか?
  3. どのような手段でその仕事を見つけましたか?
  4. 提示された年収、勤務時間、勤務日数は?
  5. 仕事を探すうえで、何に重きを置いていましたか?
  6. 当社が今後採用活動を続けていくうえで、どんなことに気をつけたらいいと思いますか?

4 質問のポイント

  1. 内定辞退者は、こちら側に対して申し訳なく思っています。ですので、意外と上記のような質問にも本音で答えてくれます。(選考も終わっている訳ですから。)
  2. したがってそこで得た意見には、決して反論してはなりません。
  3. どんなことでも「ありがとうございます。」とお礼を言って受け止め、次の採用に活かしましょう。

5 フィードバックの例

  1. 企業:当社の強みは無駄を排除したコスパのよいサービスです。
    応募者:社員を搾取する会社なんだな。。。
  2. 企業:マニュアル等を整備しており、未経験者歓迎です。
    応募者:自分の個性が殺される。自分の才能を活かせない。
  3. このように思わぬ捉えられ方をするケースも実際にありました。

6 結論

  1. 内定者も、内定辞退者もそこに行き着くまでにかけた時間は返ってきません。
  2. 内定者にも同様の質問をしてみてもいいかもしれませんが、「これから働く会社だから」とある程度の忖度が入った答えが返ってくると思っていたほうが無難です。
  3. またヒアリングは社長が行いましょう。部下にさせると社長への忖度も入ってしまいますから。

テレワーク

1 テレワーク

  1. 社員を出社させずに、自宅で仕事させる(テレワーク)を実施している会社もあろうことかと思います。
  2. テレワークの問題点として、仕事の効率が下がる。社員同士のコミニューションが下がるために、タスク管理に支障がでる等の問題があります。
  3. しかし、テレワークをしている社員はいつもの仕事から解放されることになります。そこで、テレワークの環境を活用する方法を検討してみてはどうでしょうか。

2 グーグルの「20%ルール」

  1. グーグルでは、仕事時間の20%について通常の仕事とは異なり、グーグルにもっとも利益をもたらすと思うことに費やすことを推奨されています。
  2. 重要ではあるが、緊急でない業務はなかなか後回しになって進みません。そこで、テレワークで、通常の仕事を離れた環境で、そういった業務について取り組んでもらうのはどうでしょうか。

3 重要だか緊急ではない業務

  1. 例えば、マニュアル作り、HPの更新、ITの導入等、作業工程の改善・見直し等のさまざまな業務があると思います。
  2. 10年先の会社のことを思えば、大事な業務がこれにあたります。

4 経営戦略

  1. 重要だか緊急ではない業務については、経営者が号令を出すだけでは始められません。経営戦略に組み込むことが必要です。
  2. まずは、全体のプロジェクトを細かくわけで、細分化させたうえで、指示する必要があります。
    例えば、HPの更新であれば、テーマの決定、文書を考える上での資料の収集、記事の記載と分けてもよいかもしれません。
  3. 一週間に一度は進捗を確認します。社員が一つ一つをこなしていくことを確認して、その業務を習慣化させる必要があります。
  4. これらの仕事は他人に評価されない業務が多いです。社員の仕事に対してしっかりとリアクションをとってモチベーションを上げていく必要があります。

5 主婦の活用

  1. 他社ができないことをやれれば、競争力となります。主婦が自宅にてできる仕事を見つけれれば大きな財産となります。
  2. いろいろな仕事をお願いしてみて、主婦層の活用にもチャレンジしてみてはどうでしょうか。

6 まとめ

  1. コロナの収束はまだまだ先にはなりそうですが、テレワーク体制とも上手く付き合ってニューノーマルに対応していくことが今後の企業繁栄のキーになるのではないでしょうか。