1 序章
- 鬱病などの精神疾患に従業員が罹患してしまうと、業務効率が低下したり休職を余儀なくされたりして業務に大きな支障が出ます。従って、精神的な病を患っている人または過去にメンタル面での病気に罹患した事がある人には入社してほしくないというのが企業の本音だと思います。
- しかし、鬱病などの精神疾患の既往歴は個人情報の一つであり、面接の際に既往歴があるか否かを質問するのも問題だと云われかねません。
2 実例
- 採用面接時に既往歴があるかどうか質問するよりも、健康診断結果を提出してもらう方が正確に精神疾患等の情報を得ることが出来ます。
- 過去の裁判例(事件名:B金融公庫【B型肝炎ウイルス感染検査】事件/裁判日:平成15年6月20日)では、下記のような判例がある。
- ・金融機関Yに雇用されるため採用選考に応募したZが、Yに対し、B型肝炎ウイルスに感染していることのみを理由としてZを不採用としたこと。ならびに、Zに無断でウイルス感染を判定する検査及び精密検査を受けさせたことがいずれも不法行為であるとして損害賠償を求めた。
・不採用にしたことについては、会社には「採用の自由」が認められているため、一部棄却されたものの、本人の同意なしにウイルス感染の検査受けさせて情報を取得したことは、プライバシー権の侵害として損害賠償請求が認められた。
とあります。
3 会社としての対応
- 上記のように、特定の病気を疑って検査を受けさせることは困難です。また、面接や筆記試験では持病や既往歴までは掴みきれません。
- 入社後に精神的な病を患って長期的な欠勤をする従業員が出てくると、周りのスタッフに迷惑が掛かるばかりか、いつ出勤するかもわからない従業員に対して、場合によっては一定期間給料を払い続けていくという会社もあるほどです。
- 就業規則に精神疾患による解雇要件が無い会社は多く、退職勧奨などを進めていくことしか出来ないケースが多いというのが現状です。
4 結論
- 上記のようなケースでは、弁護士や社労士に相談するのが一番の得策と言えます。
ただ、それはあくまで事後相談。そういう事態になってからというものです。
- 弊社が行っているバックグラウンドチェックでは、前職で鬱傾向にあったか否か、また、精神疾患による休職や退職理由なども調査しております。
- なかなか見抜けない要素を採用前に確認するためにも、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを導入される事をお勧めします。
- 近々別記事にてこの事後相談、対応についてお話させていただきます。
1 コンピタンシー
- ビジネスの世界では、コンピタンシーは、以下の意味で使われます。
- かつては、ハイパフォマー(成績優秀者)の特徴という意味で使われていました。営業成績のよい社員の特徴を解析して、社員教育や評価制度に反映しようという動きです。
- 野球の上手い人のまねをすれば、野球が上手くなるわけではありません。結局、このような流れは無くなりました。
2 会社のコンピタンシー
- 成績の良い会社の特徴・強みという意味で使われることもあります。
- ある成績の良い会社では、社会を変えようと考える(起業家マインドを持った人)メンバーで構成されており、採用戦略としても、同様の素質を持つ者を採用していこうという形で議論されます。
- なお、コンピタンシーは、成績の良いという「結果」から見て、会社(個人)の特徴を把握する点に特徴がある考え方です。
3 コンピタンシー面接
- この面接は、困難に直面した際に人がどういう行動をとるのか、姿勢を問うものです。
- ①リーダーシップを発揮して他人を巻き込んで困難に立ち向かうのか、②自分一人で創意工夫をするのか、③当たり前のことは言われなくてもやれるのか、④言われたことしかやらないのか、等の仕事の姿勢を判断します。
- コンピタンシー面接では、本人が過去にどうしたか(結果)をヒアリングして、判断するものですが、コンピタンシーという言葉の意味が他とは大きく異なります。
4 社風
- 少し、近い概念として社風という言葉もあります。
- く採用の時には、「一緒に働きたいと思うかどうか」で判断するという言葉を聞きますが、退職の主な原因は人間関係ですから、合理的な考えだと思います。
- 社風(会社に定着している人がどんな人であるのかその特徴)を分析することは意味がありますし、今後期待する人材について、「粘り強く自分で仕事を考える」等の特定の素養を期待するのであれば、これを探す試験をどうするか、を考える必要があります。
5 結論
- 少し自分なりに書きすぎてしまいましたが、ひとつ言えるのはコンピタンシー面接は有効な面接方法であるので、一度勉強することをお勧めします。
1 序章
- 企業活動において、採用リスクは切っても切れない関係性にあります。
- 会社に悪意が無かったとしても、未払い残業やパワハラ、不当解雇など従業員は様々な不満や問題を抱えているものです。
- 特に退職後に揉めることが多いと思いますが、今回は在職中の従業員が問題を起こした際に会社が被る損害についてお話します。
2 バカッター
- この言葉は既に世間一般に広まっているワードですが、「馬鹿」と「Twitter」のかばん語で、日本のインターネットにおいて誕生したTwitter利用者による行為の様相を表すインターネットスラングです。
- バカッターという言葉が生まれた原因は、Twitterの利用者が投稿するツイートに内容の酷いものが多く見つけられ話題になったことから始まりました。中には個人名を出した上で、非行や犯罪行為を自慢する自己顕示欲のある者などが存在します。
3 バカッター(過去事例)
- コンビニ従業員がアイス冷蔵庫の中に入り写真を投稿
- 回転寿司店のアルバイトがゴミ箱に捨てた生魚を調理する様子を投稿
- ピザ屋の従業員がピザ生地を顔につけた写真を投稿
- ステーキ店のアルバイトが大型冷蔵庫の中に入っている写真を投稿
- など、挙げればキリが無いくらいに多く、こういった従業員が悪ふざけをした写真や動画を投稿する行為は「バイトテロ」と呼ばれます。
4 バイトテロ
- バイトテロとは前述したように、主に飲食店や小売店の従業員(正社員・契約社員およびアルバイト・パートなどの非正規雇用含む)が、勤務先の商品(特に食品)や什器その他の備品を使用していたずら・悪ふざけを行う様子をスマートフォンなどで撮影し、TwitterやYouTubeなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿して炎上する現象を指す日本の造語。
- 発生した企業・店舗(およびグループ会社・同業者全体)に対する社会的なイメージダウンを引き起こすのみならず、返金や商品の返品・交換および消毒、最悪の場合は発生した店舗(フランチャイズ店)の契約解除や閉店に伴う巨額の損害賠償の請求も発生することから「アルバイトによるテロ行為」として「バイトテロ」と呼ばれる。
5 バイトテロによる損害
- バイトテロにおける損害は、会社や店だけでなく写真や動画を投稿した本人にも降り掛かる。
- 過去事例にあげたコンビニで言えば、当該店舗はフランチャイズであった事から契約を解除され、廃業に追い込まれました。当然のことながら、投稿した従業員は解雇。
- ステーキ店の事例では、当該店舗は閉店を余儀なくされ、投稿した元アルバイトに対して損害賠償請求(2,000万円に上ると言われています)をしたとの話もあります。
6 結論
- 採用リスクは従業員の在職中や退職後、どこにでも存在します。
- 従業員の軽はずみな行為によって会社の社会的信用を失い、最悪の場合は廃業にまでなりかねません。
- 書類選考や面接だけでは、採用候補者の性格・素行面などは掴みきれないことの方が多く、入社してからでは既に遅いというケースも想定されます。
- 弊所のバックグラウンドチェックでは、普段のSNSへの投稿や、前職での仕事振り、人柄、素行等についても調査しております。
- 「明るくて良い子そうだな」と、面接での印象だけで採用される前に、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを導入される事をお勧めします。
1 男性の育児と出生率
- 日本での男性の育児・家事時間は、女性の2割と言われています。
- 当然ながら、その差が男女で大きくなれば、少子化が進みやすくなります。
- 例えば、男性の育児休暇の取得は1割程度です。
2 育児による退職と、その対策
- 育児と仕事の両立が難しく、退職が迫られるのは女性だけではありません。女性の給与が高い家庭では、退職を選ぶ男性もいます。
- 最近は、男性の育児休暇の取得を進めるという動きがあります。
それだけではなく、「1日の勤務時間を5時間にするなどの短時間勤務の導入」「週3日勤務を認める休日の導入」「テレワークで仕事ができる環境にするなどの仕事の仕組みを変える」等があります。
- 仕事の仕組みを変える方法としては、重要な書類を全てPDF化させて、自宅からも資料を閲覧できる仕組みや、会議の縮小などが必要です。
3 会社のメリット
- 「育児と仕事の両立が難しい。」という理由で退職する従業員の立場からすれば、別の会社で働くよりは、今の会社で働けた方が能力を発揮できることは分かっています。
- 会社としても、在宅ワーク等が増えれば効率が下がることは避けがたく、給与の減額等の話し合いをすることも許されます。
- 人事管理の工数が増えるかもしれませんが、経済的な支出はありません。
- さらに、HPで具体的な取り組みを公開して、働きやすい職場のアピールも考えられます。
4 より積極的なアプローチ
- より積極的なアプローチとしては、社内の「仕事と育児の両立に悩む」モデル人材を見つけて積極手的な支援を検討して、社内で制度化させる方法もあるでしょう。
- 「定着できるかどうか分からない」人を採用するのと、「優秀な人材の」退職を引き止めるのでは、効率が全然違います。「離職を食い止める。」そして、その取り組みを「採用でアピールする。」という流れに繋げましょう。
5 結論
- せっかく活躍している人財をみすみす逃してしまうのは、あまりよろしくありません。
- 新しい人も必要ですが、個々人のライフスタイルが変わっても揺るがない盤石な基盤づくりも重要ですね。
1 リファレンスチェックの流れ
- リファレンスチェック実施の説明をする。採用担当者が候補者にリファレンスチェックの説明をし、承諾を貰います。
- 候補者に承諾してもらう内容は以下のようなものが挙げられます。
・前職の方などから候補者の情報を提供してもらうこと
・リファレンスチェックの実施目的
・候補者自身から依頼者(推薦者)に対して、リファレンスチェックでの情報提供について説明し、同意を取り付けること
- 依頼者(推薦者)の連絡先を教えてもらう。候補者から依頼者(推薦者)に、採用担当者に電話番号やメールアドレスなどを共有することを説明してもらい、同意が得られたら依頼者(推薦者)の連絡先を教えてもらう。
- 依頼者(推薦者)に連絡をして日程調整をする。依頼先(推薦者)も急なリファレンスチェックに応じるのは難しいことが多いです。
依頼者(推薦者)と日程調整をしリファレンスチェックを実施する日時を決めます。
- 質問を決める。リファレンスチェック実施までに、経歴や実績の内容に虚偽がないかの確認や人物像やスキルを図る質問を用意します。
- リファレンスチェックを実施する。予定日時に依頼者(推薦者)へ連絡し、事前に決めた質問内容を聞きリファレンスチェックを実施します。
- レポートにまとめる。最後にリファレンスチェックで実施した内容をレポートとしてテキストにまとめます。誰に実施したのか・質問内容・回答結果・総評をまとめます。レポートは採用に関係した人に共有し、採用判断をします。
- 以上がリファレンスチェックの流れになります。では実際にどのような質問をすればよいでしょうか?
2 質問内容について
- リファレンスチェックの質問内容は、大きく分けて3つです。
・勤務関連→在籍期間の確認や実績などの書類や面接の内容に虚偽がないかの確認をします。
・人物像→コミュニケーション能力やどのような性格かを関係性のある第三者に確認することで、面接の限られた時間では分からない人物像を知ることができます。
・スキル→一緒に働いた第三者にしかわからない長所・短所やマネジメント能力などを確認します。入社後に、求めていたスキルが不足していたというようなミスマッチの軽減が目的となります。
3 リファレンスチェックを拒否・辞退された時の対処法
- 候補者及び依頼者にはリファレンスチェックを拒否する権利があります。
- リファレンスチェックを拒否・辞退された場合にできる対処方法は下記の3つがあります。
・別の推薦者に連絡する
・時間を置いて改めて依頼する
・リファレンスチェック用のツールを使う
4 まとめ
- 現在、リファレンスチェックを専門的に行っている会社は数多くあります。
- 導入障壁こそ低いですが、上記のように手順はどうしても多くなってしまうため
業者に委託する方が効果的で効率的だと言えます。
- 次回は、リファレンスチェックと対比される「バックグラウンドチェック」
について述べていきます。